明けましておめでとうございます。昨年6月より始まったピア・サポーター研修会も今年度はあと1回(反省会と来年の予定)を残すだけとなりました。

第7回(2015年10月31日開催)は、前回と同じく公開研修会でした。講師は認定遺伝カウンセラー(米国、日本)で、とても奇遇なのですが、平成16年に前代表の天野美知子さんがLCH患者会を発足したときの総会で司会をしていただいた田村智英子先生で、テーマは「ピア相談のスキルアップを目指そう~今日から使えるコツを学ぶ~」でした。

  ピアによる支え合いとは?  難病患者・家族の心理  ピア相談のあり方を考えるための基本  傾聴とは?共感的理解とは? などについて実践的な講演をしていただきました。

田村先生はとても気さくな方でユーモアのあるお話ぶりに会場はときおり笑い声にあふれ、講演終了後も先生とお話ししたい人が列をつくりました。

田村先生は患者会の運営にいつも尽力いただいている恒松由記子先生と現在も一緒にお仕事をしていらっしゃるそうで、ご挨拶をした私は「たいへんだけど頑張って下さい!」と激励され勇気づけられました。

 

第8回から第11回は研修会メンバーだけに戻り、「語り部体験」とそれを共感を持ってじっくりと聞く「傾聴体験」をしました。毎回1~2人が一人ずつ45分間位で自分のこと・・・病気になったときのこと、そのときどう感じたか、家族のこと、仕事のこと、現在の気持ち、主治医との関係などなど、ありとあらゆることを話したいだけ話して良く、他のメンバーはそれを傾聴するというものです。日常生活のなかで、自分のことばかり話していたら、相手にすっかり引かれてしまいますが、ここではそれが許されるし、聞き手はピア(仲間)で共感を持って理解してもらえるという、素晴らしい経験をしました。

当初、45分間くらいの予定だった語り部体験でしたが、いざ話し出してみると話すことがたくさんあり、1時間を超えることが多々ありました。ほとんどの方が辛かったときのことを思い出し、声を詰まらせ涙ぐんだり、泣いてしまったりしました。聞いている方もいっしょに涙しました。語り部は一人でみんなの前で話をするのだからたいへんですが、傾聴する側も語り部の発する重さやオーラを受け止めるような感じを受け、それもたいへんであることに気づきました。  私を含め、皆さん難病の宣告を受け、悩み、苦しみ、どん底からはい上がって、病気と共生しながら、病気になったからできることを模索しているところです。多くの方が語り部体験をしてから、以前より明るくなって生き生きしたような感じを受けました。仲間のいるところで、自分のことを話し、聞いてもらえることのうれしさを、あらためて実感しました。これは患者会活動にもあてはまることなので、この経験を生かしていきたいと思います。

最後に、一番印象に残った一言を紹介します。

病気になり、今まで打ち込んできた仕事ができなくなった現実を受け入れるまでに葛藤の日々を送りました。「病気だからできない」ことはたくさんあります。でも、「健康だったらできない」こと、「病気だからできること」にチャレンジしていきたいです。                                       (笠原博子)